おれの家には開かずのトビラが存在する。おれが物心を持った時から、開けた記憶がないし、誰もこの部屋に入った形跡がないのだ。家族の誰に聞いても、話をしてくれないし、そんなこと気にするなら勉強しろと言われて、話をはぐらかされるのだ。そしてついに好奇心が勝ってしまい、20歳の誕生日の日にこのトビラを開けてしまったのだ!そうしたら別になんともないガラーンとした部屋だった。想像していた特別なものは何も一切なかったのだ。がっかりしてトビラを閉めた瞬間!何かおれの背中を触るものがあるではないか!なんだと思って振り返ってみると、たくさんの手がドアからうじゃうじゃと飛び出しているのだ!なんとも奇妙な光景。その日以来このトビラから複数の手がおれを執拗に捕まえようとする。家族に相談すると、ついに開けてしまったのか・・・。どうやら家族全員がこの手が見えるらしい。何かの呪いかわからないが、とにかくこの部屋の前は通らないようにしているらしい。これが我が家の秘密なのである。
Door Hand
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