The Rolling Ball

The Rolling Ball

オレは変な癖を持っている。あんまり人に言えることではないのだが、何かを転がすのがとても興奮するのだ。それは別になんでもいいのだが、大きければ大きいほど興奮する。それはなかなか大きなものは転がすことができないからだ。そのために、家のほとんどの敷地を物を転がす専用の部屋にしてしまったのだ。だからがらんとした大きな部屋が一つある家だと思っていい。たまに友人を招くと、大抵の人はその広さに驚くのだ。そして部屋には大きなボールが一つだけ置かれているなんともシュールな作りなのである。オレはそのボールを毎日心ゆくまで転がしているのだ。それも普通に転がすのではない、後ろ向きで、まるでフンコロガシのようにボールを転がすのだ。そんな姿は誰にも見せられる状況ではない。オレはどこに向かっているのだろうか、自分でもたまにおかしいのではないかと思う。