オレが通っている大学の実験室にはある噂が流れている。ある実験室にはなにかが潜んでいるというのである。それは、動物だったり、なんかの霊だったりと噂は絶えなかったのだ。だが、ふたを開けてみればなんてことはない、影が薄い女性が住んでいたのだ。その人は、学校の生徒でマリコさんという人だった。理数系の学科に行っているマリコさんは、生活費に困り、実験室に住めばいいじゃんとアイデアがわき、本当に住みだしたのだ。その驚きの光景とは!至る所の使われていないだろうと思う、スペースを改造して自分の部屋にしていたのだ。それは、奥の方の戸棚であったり、天井近くの戸棚であったり、あらゆるところを彼女のスペースにしていたのだ。どおりで、誰も気がつかなかったのだ。あまりにも巧妙に作られているので、だれも生活している雰囲気がなかったのだ。よく調べてみると、至る所に部屋があってまるで家のようになっていた。あっぱれといった感じだ。学校の許可が出て、マリコさんは未だに実験室に住んでいるようだ。今は教授のアシスタントをしているようだが、このままいくと、教授にまで上り詰めるかもしれない。職場と家が同じ場所とはなんとも羨ましいい限りである。