好きなものに囲まれて生きるのは至福の時だ。いろいろな趣味っていうのは存在するが、オレの妹のトキ子はなかなかすごいものを持っている。アニキのオレには全く理解出来ないのだが、本人は至って幸せそうだから、無理してやめさせるのもおかしいなと思ってほっといている。ではトキ子は何にはまっているのか?それはタマネギである。タマネギ?と思うだろう。トキ子は食べるのも好きだが、それよりもタマネギの下にいるのが好きなのだ。大量のタマネギに埋もれて寝るのが趣味なのである。そんなの臭くて眠れないだろうと思うのが普通で、でもトキ子はその臭さがとてもいいらしく、小さい頃からタマネギに埋もれて寝ているのである。そのために家の中は年中タマネギの匂いを発しているので、臭いのだが、さすがに何十年とそんな家に住んでいると気にならなくなってきている。友人とかくると、変な顔をするけど、タマネギ臭いとわかるので何も突っ込んでこない。当のトキ子も、友達には堂々と自分の趣味を話しているらしく、あだ名はタマネギということだ。トキ子よタマネギと結婚することだけはよしてくれというのが、家族の願いである。