「秋なすは嫁に食わすな」という言葉がある。秋なすは身体を冷やすので、もし妊娠をしていたら、出産に影響するからだ。だが、本音を言えば秋なすはとてもおいしいので、姑が嫁になんかおいしいなすを食わすものかという思惑があるのだ。なんともいえない女性の陰鬱な部分を映し出しているのだ。だが、どんな季節だろうとなすをこよなく愛する貴族出身の女性がいる。貴族名もなす貴族というくらいだから、先祖代々なす好きだったことが伺えるし、この貴族はなす農園を経営して、それで巨額の富を築いてもいるのだ。まさになすが彼らの生活の一部になっているといえるだろう。そして彼らは常に前を向いていて、おいしいなすを栽培しようと試行錯誤している。市場に出ていないおいしいなすを彼らは普段から食べていて、いつの間にか家族全員がなすの顔になってしまったのである。だが彼らはそれでも幸せなので心配はしていないようだ。