自分の匂い、体臭に今まで気がつかなかった。それはあまりにも普段の匂いがそのまま自分の体臭だったからだ。普段嗅いでいる匂いが普通になってしまっている状態だと、それが当たり前だからだ。ボクは小さな温泉地で生まれて育った。そのために家の中も町中も温泉独特の匂いが充満していたのだ。そんな環境で育ったから自分の体臭が温泉臭いとは思いもしなかったのだ。大学で東京に出て暮らすようになって初めて気がついたのだ。みんなボクが近くによると鼻が取れるくらい臭いというのだ。それに周りの人と比べると、明らかに自分の肌の色は黄色いのがわかった。硫黄が体の中に浸透しているのだ。小さい頃から硫黄の入った水を飲んでいたからだ。このような体質になってしまった以上、受け入れていくしかないだろう。