親父が他界した。とても悲しい。とてもいい親父だったのでなおさらだ。親父が亡くなって遺書が出てきた。その遺書にはとんでもないことが書いてあったのだ。「棺桶はパイ包みにしてくれ」という遺告だ。なんてことだ!そんなことって可能なのか。そして友人のパティシエの連絡先が書いてあり、彼に頼むことって書いてあったのだ。生前パイが大好きだった親父の最後の願いなのかも知れない。そしてパティシエの友人に連絡すると、心地やく快諾してくれて、今までにない棺桶に仕上がったのだ。親父はパイに包まれて葬儀をして、友人に見送られた。こんなにも葬儀会場に甘い匂いが充満しているのはまずないだろう。親父はパイに包まれてさぞ満足なことだろう。パイを食べるときに親父を毎回思い出しそうだ。