小さい頃はコンプレックスでしかなかった額が、いまではこんな便利なものになるとは思わなかった。ボクの額は昔から飛び出ている。頭蓋骨が変形してとんがっているので、手術しようにも脳みそが邪魔をしてできないのだ。そのためにおかしな額のまま成長するしかなかった。世間から変な目で見られるのは小さい頃からなのでもう慣れてしまった。それが大人になるに連れて、もしかしたらこの額は便利なんじゃないかと感じるようになった。それは強い日差しを遮ってくれるからだ。いわばひさしが目の上にある状態なので、眩しくないのだ。サングラスをかける必要性もないし、出っ張った額は重宝している。コンプレックスが自慢の額に変わったのである。