長年イカ漁船の船長をしている。日本で一番の水揚げ量になったこともあった。人生をイカに注いだと言っていいと思う。そんな自分にイカの呪いがかかったのか、とんでもないことになった。ある日いつも通りにイカをとっていたら、今まで見たことのないイカが存在していた。その1匹が自分に襲いかかってきたのだ。自分の顔にピッタリとくっついて離れないのだ。陸についてどうにか顔から剥がしたのだが、足だけくっついたままだ。それがいつの間にか移動して自分の顎にずっとついている。まるで顎鬚のようなのだ。まさにイカを生業にしている自分に降りかかった不幸だ。